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ストレッチと3つのダンクプログラム【米国大手】

投稿日:2020年5月13日 更新日:

こんにちはともきちです。今回のブログのテーマ前回前々回に引き続きストレッチです。が、今回はそこで扱ったペインサイエンスの論文をもとに

アメリカの大手のジャンププログラム三つがどんな立ち位置になっているかを検証したいと思います。

アメリカのジャンププログラムといえば、星の数ほどあるかと思いますが、今回は

PJF、THP、ATG

の三つを取り上げて説明していきます!

ストレッチと3つのダンクプログラム

三者の異なる、ストレッチに関する考察

結論から最初に言ってしまえば、

PJF、THPはストレッチはそこまで意味がない、という前回のブログで紹介した論文のスタンスと似ています。

いっぽうで

ATGはコービー・ブライアント等の選手の言葉(注1)などを引用しながら、ストレッチをすることの重要性を主張しています。

大別すると二つに分かれるんですね。

PJF…アカデミックなプログラム

PJFと契約している選手は多数いますが、ここでは代表で三人挙げておきます。

  • ジェームズ・ハーデン
  • クリス・ステイプルズ(プロダンカー)
  • ジャマール・ハリス(垂直跳び世界記録保持者)、など

static stretch に関する記述

PJFで可動域を広げるもしくは身体のメンテナンスとして紹介されているのは、

  • ダイナミック・ウォーミングアップ(ダイナミックストレッチ)
  • エキセントリックエクササイズ
  • スタティックストレッチ

の三つです。

エキセントリックエクササイズはモビリティドリルとも呼ばれ、筋肉の可動域(ROM)を上げます。

スタティックストレッチ(static stretch)つまり日本語でいうと静的ストレッチと同じ目的で行われるものです。

(こちらの動画で26のエキセントリックエクササイズがご覧になれます)

そして、ペインサイエンスの論文と同じく

前者のエキセントリックエクササイズのほうが、静的ストレッチよりもROMを上げるのには効率がいい

という立ち位置です。

わかりやすく例え話をすると

足首のROMをあげるためには、足首のストレッチをするよりも重りを持ってディープスクワットをした方が効率的だということです。

二種類のジャンププログラム

PJFには二種類のプログラムがあります。一つはバート・コードという自重(ボディーウェイト)で行うもの。

もう一つは、ウェイトのある、つまりエリートプログラムと呼ばれるもの(バート・コード・エリート)。僕が買ったのはこれです。

エリートプログラムの中では静的ストレッチはoptionalになっています。やってもやらなくてもいいんです。先ほど説明したことと矛盾がないですよね。

結局エキセントリックエクササイズのほうが効率的だから、わざわざ非効率なほうの静的ストレッチをする必要がないんです。

しかし

人によっては(静的)ストレッチをするのが習慣だから、PJFもプログラムの中であえて選択肢として残しているんですね。

そうそう、よくNBA選手がストレッチの有効性についてコメントしているのがあるとは思いますが、

ストレッチがそこまで意味がないこと、NBAのトレーナーもほぼ常識として知っているそうです。

でも習慣を崩すことのデメリットのほうが多いですから、あえて禁止もしないし否定もしないのです。

例えばコービーやレブロンのトレーナーは知っていますが、わざと言わないのですって。ストレッチをして上手くいっていると思っているのに(実際それでなんの問題もないのに)わざわざいう必要がないのです。

あと、

ロシアのデータではストレッチをして身体の疲労度がとれた、というものがあるらしいです。はっきりとはしていないんですが。

(30:00前後のところでロシアの実験についての発言があります)

結局その「実験」なるものでは、ストレッチか、否かという二つしか選択肢がなくて、

他の運動であるとかエキセントリックエクササイズであるとか、他のことをやってないわけですよ、被験者は。なのでPJFはその理由としてクールダウンによってもたらされたものではないか、と言っています。

つまりストレッチについての効果ははっきりと証明されたものではないということです。

ただ、基本的には、大多数の人にとってはやっても無害なので、

そこをoptionとして残すのは妥当かな、という印象です。

THP…今僕がやっています。が…

THPを経営しているコーチは二人。

  1. アイザイア・リベラ
  2. ジョン・エバンス(Duke大のアスレチックトレーナー)

この二人に静的ストレッチについて聞いてみました。

静的ストレッチについて聞いてみました

THPは僕が購入して現在しているプログラムです。このTHPのポッドキャストでは

基本的なスタンス……静的ストレッチは意味ない

というものだったにもかかわらず、プログラムにストレッチが組み込まれていましたので、これは矛盾があるな、とばかり聞いてみました。

ホワイ?

質問をするときに、文献も同時に示しておきました。

その内容ですが、

エキセントリックエクササイズをしてもらったアスリートのほうが静的ストレッチをしたアスリートよりもハムストリングのフレキシビリティーが向上していたデータ(注2)

エキセントリックエクササイズは、ROMのほかにも筋肉も同時に鍛えることができる点(注3)

の、2点を指摘させてもらいました。

静的ストレッチでROMを広げたとて、筋肉までは強化できない。この場合、身体が本来持っているバランスを崩すことにつながる。

でも、エキセントリックエクササイズだったら、同時に両方鍛えられるため、そのバランスを崩すことがないのです。

しかも、ROMの改善率も高い。

これを知ってか知らずか、THPは静的ストレッチをプログラムに入れているのです。何故でしょうか。

「ポッドキャスト聞いてね」

返ってきた答えは

「ペインサイエンス等の論文は一般的にみて正しい。

でも静的ストレッチにもいいところはあるよ」

という、

非常に抽象的なものでした。

どういうところがいいの、とさらに突っ込んで聞くと

「ポッドキャスト聞いて」

と返ってきました。

「エキセントリックエクササイズと静的ストレッチは用法が違うんだよ」→??

ポッドキャストでは

ジャンプのフォーム自体とれないほど身体が硬い人は、

大腿四頭筋のストレッチをして柔軟にする必要があると言われていました。

バット・キック(butt kick)をしても踵がお尻につかない場合はストレッチして柔軟にすることも必要だと。

butt kick

ジャンプのフォームが取れないから、だそうです。

だったら静的ストレッチよりも、エキセントリックムーブメントのほうがいいんじゃない?

と聞くと

「場所と時間による」

…と言われました。

さらにどういう意味かな、といろいろなウェブサイトで探っていくうちに

「エキセントリックエクササイズは筋肉の柔軟性じゃなくて、関節の可動域を基本的に鍛えるから、ストレッチとは用法が違う。」

…という記述も見られました。

なんやトンチみたいやな

必要最低限に達する為

無理矢理(?)まとめると、すごく身体がかたくて、ジャンプのフォームが取れない場合に、

静的ストレッチをすることで、フォームになるのに必要な時間を軽減できるのでは、と考えているようです。

勘違いしてはいけないのは、

柔軟になればなるほどパフォーマンスが上がるわけではないってことなんですけどね。

ATG

コナー・バースというプロダンカーが創設者の一人です。

真逆の立場

決定的にペインサイエンスやさっき述べた二者とは違う点があります。それは

選手は柔軟になればなるほど良い

としていることです。

パフォーマンスや怪我をしたくなかったら、できる限り柔軟にならなければいけない、と説いていることです。

どれくらい柔軟性を推しているかというと

台に乗って前屈して、手首がつま先に達する

かどうかが、身体がフレキシブルであるかどうかの基準である、と彼らは言います。

あとは推しているのは股割りですね。

ATGはけっこう人気があるので僕も、ペインサイエンス等の論文を読む前に興味があってATGに触発されて股割りをやってみました。ご存じの人はご存知の通り…。(下にリンク)

結果は上のブログで書いたように、パフォーマンスには変化は見られませんでした。

ATGは

ストレッチを徹底的にして柔軟性を得れば怪我をしない

という論点でしたが、

お分かりのようにATGでも例を出されたコービーは現役中に何度も怪我をしています。

ビッグネームだけを借りて、真実を全て伝えないのはフェアじゃないなと感じました。

人気であるのは事実ですが、ポッドキャストでも論文やデータなどの話は出てこないし、どんな事実をもとにプログラムを組んでいるのかな、と思わざるを得ないです。残念ですね。

まとめ

以上、まとめますと

  • PJF……ストレッチ選択式
  • THP……ストレッチ何故かやってる
  • ATG……ストレッチ賛歌

という、結果でした。

少なくともストレッチに関して言えば、ATGには感覚的なことだけでプログラムを組まないでほしいと思います。

ポッドキャストを聞いた限りでも、

周囲にストレッチをするべきでないとされるハイパーモビリティのひとはいなかった

ハイパーモビリティという症候群は存在しない

と言う論は、ちょっと怖かったですね。少なくともストレッチに関して言えば、三者の中では、現実的なデータや論文をもとにプログラムを組んでいるPJFが一番説得力があるという結論です。(注4)

とりあえず三者に共通するのは、

ジャンプのフォームを取れるくらいの柔軟性は必要

ということだったので

より効果の高いエキセントリックエクササイズを僕はしています。

※注釈

(注1)—https://youtu.be/aSqeWUuQSlM

この動画の6:23のところでコービー・ブライアントがストレッチの重要性を説いている。彼がストレッチを重要視していた理由はプロバスケ選手である父親の影響。「毎日のハード練習や試合、これをこなせた理由は父がストレッチを毎日やっていたからだ」。このように科学的な根拠ではなく、個人的な経験であたかもそれが真実であるかのように世間では解釈される。

(注2)—“In high school and college aged male athletes, hamstring flexibility gains made from one bout of eccentric training (as measured by hip flexion range of motion gains) were significantly better than the gains made by a static stretch group and a control group. This study provides evidence that when dealing with the immediate effects of stretching, flexibility programs may actually be enhanced by replacing static stretching with eccentric training.”

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2953312/

(注3)—“While static stretching has been proven to improve flexibility, the ability of static stretching to strengthen through and entire range of motion is doubtful. Eccentric training is strengthening the muscle by having it contract as it lengthens. A patient eccentrically training through a full range of motion will be gaining range of motion and strength at the same time, thus, making the activity more functional. This type of training could also save time by combining the strengthening and flexibility components into one activity.”(出典同上)

(注4)—ここでストレッチとは逸れてしまうのですが、PJFがほかのジャンププログラムと決定的に違う点は、その説得力、つまり説明の部分なのですね。PJFの良さはそのジャンププログラム自体ではなくて、ファブリッツ氏の講義であり説明です。ただ消化するだけではなく、学べるのですね。逆に言えば、英語がわからず、説明が聞けないとなると「もったいない」ことになります。講義や説明の部分は、文字化されておらず、テキストも字幕ない口頭なので、リスニング力が足りないと苦戦を強いられるでしょう。しかし同時に英語を学ぶいいモチベーションになるとも言えますね。

-Balling

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人物紹介

夫(ともきち)…ブログの管理者(原作者)。中学校でバスケ部、ダンクするために高校では他運動部に籍を置きつつストリートでダンク&バスケをする。ほぼノンキャリアで22歳でアメリカに来て武者修行、D1の選手やマイナープロ、ラッカープレーヤーとやってきて認められるまでになる。今はウィンドミルダンクを決めるため、ジャンプ力110cmを目指す。

性別:男

身長:174cm(靴なし)(5’9”)ウィングスパン184cmくらい

必殺技:ドライブを得意とする。スラッシャー。

最高ジャンプ力:1mくらい